2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700350
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
田島 織絵 Chubu University, 生命健康科学部, 講師 (10362237)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / ガングリオシド / ノックアウト / 遺伝子発現 / 神経変性 / 神経機能障害 / 末梢神経 / 中枢神経 |
Research Abstract |
ガングリオシド欠損マウスは残有する糖鎖構造によって様々な神経症状を呈するが,最も単純な糖鎖構造であるGM3のみを発現する糖鎖欠損マウスでは,幼少時から中枢及び末梢神経の変性が認められ,高次脳神経機能障害や神経伝達物質受容体アゴニストに対する異常応答を呈する.本研究においては,糖鎖欠損に伴う神経変性の分子メカニズムを解明するために,GM2/GD2合成酵素遺伝子及びGD3合成酵素遺伝子ダブルノックアウト(DKO)マウスの遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析し,形態学的異常との関連を検討した. 1.DKOマウスの中枢組織における変性像について解析した結果,小脳においてプルキンエ細胞層の異常(不整列,脱落)や顆粒層,髄質層におけるgliosisが早期から起こっていることを明らかにした.さらに,加齢に伴ってプルキンエ細胞脱落やgliosisの進行,マイクログリアの増殖などの異常を確認した. 2.DNAマイクロアレイ及びリアルタイムRT-PCRによって発現変化を認めた25種の遺伝子のうち,神経再生関連遺伝子としての機能が報告されている2種類の遺伝子(Ecell及びNinjurin2)の発現パターンについて経時的に解析した.その結果,Ninjurin2の発現が若齢時から低下していることや組織変性の悪化に伴ってEcel1の発現が増大することを確認した. これらの結果は,Ece11などの神経保護作用を有する分子を誘導することによって糖鎖欠損に伴う機能不全を補填している可能性を示唆している.しかしその一方で,Ninjurin2のように発現が抑制され本来の機能が発揮されないことが障害を加速させる一因となっているのかもしれない.いずれにしても,これら神経再生関連分子の発現調節,あるいはその作用機構にガングリオシドが関与していることが示唆された.
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Research Products
(7 results)