2006 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体(GluR)δ2のシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
18700358
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植村 健 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00372368)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / δ2サブユニット / 細胞質内領域 / 登上線維 / 小脳神経回路網形成 |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞において生理的に重要な役割を果たしているグルタミン酸受容体(GluR)δ2は小脳シナプス形成・安定化、記憶・学習の分子機構に重要な役割を果たしている。本研究ではGluRδ2が担う重要な生理的役割の分子機構を解明することが目的である。GluRδ2のC末端細胞質内領域には2ケ所の他の分子とのに相互作用に重要な領域が見出されている。一つは後シナプス肥厚部(PSD)の足場蛋白Shankの結合するC末端細胞質内領域の中間に位置する領域(S segment)で、もう一つはDelphilin, PTPMEG等のPSD足場蛋白が結合する最もC末端の部分(T site)である。遺伝子ターゲッティング法によりそれぞれの領域を欠失させたマウス作製し、それぞれの領域の果たす役割を生化学、解剖学的に解析した。小脳皮質において登上線維の軸索終末に特異的に発現しているシナプス小胞性グルタミン酸輸送体(VGluT)2に対する抗体を用いた免疫組織学的解析により、T site欠損マウスでは登上線維の支配領域が拡大していることを見出した。この結果は、GluRδ2のT siteを介したシグナルが登上線維の支配領域調節に重要な役割を果たしている事を示唆するものであり、小脳神経回路網形成における新たな調整機構の存在を示唆するものであった。また、S segment欠損マウスの生化学的解析からS SegmentはGluRδ2の局在または安定性を規定しているドメインである事を示唆する結果を得た。
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