2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ嗅神経細胞のプレシナプス形成を調節する分子機構の解明
Project/Area Number |
18700359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 知之 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90372367)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 嗅神経細胞 / 軸索終末分化 / シナプス小脳 / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
VAMP2-EGFPタンパク質により可視化したシナプス小胞が軸索終末に集積し、さらにGAP43-EGFPによって可視化した軸索終末が複雑な形態から単純な形態に変化する(リモデリング)ことがゼブラフィッシュ嗅神経細胞の軸索終末分化の良い指標である。前者はPKA-CREBシグナルにより、後者はcalcineurin-NEATシグナルにより制御されていることがすでに分かっている。本研究ではこれらの上流で2つのシグナルを調節し、プレシナプス形成の引き金を引く分子機構を明らかにすることが目的である。これまでに、calmodulinの阻害薬や嗅神経特異的なcalmodulin阻害ペプチドの発現によりシナプス小胞の集積および軸索終末の形態変化が共に阻害されることを見いだした。このことから、双方の指標ともにカルシウムシグナルにより調節されることが示唆された。さらに神経細胞の発火活動を抑えることが知られている内向き整流製カリウムチャネル(Kir2.1)を発現させるとリモデリングが抑制されることを見いだした。一方、イノシトール3リン酸(IP_3)を分解するIP_3-5-phosphataseを発現させると、シナプス小胞の集積が選択的に抑制された。これらのことから、小胞体を介したカルシウムシグナルはシナプス小胞の集積を調節し、一方、神経細胞の発火による電位依存性カルシウムチャネルによるカルシウムシグナルはリモデリングを調節することが示唆された。またin vivoにおいてこれらのカルシウムシグナルをモニターするためにカルシウムインジケーターを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ系統を作出した。
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