2006 Fiscal Year Annual Research Report
カテコールアミン神経細胞の分化・生存におけるATF-2の機能と役割の解明
Project/Area Number |
18700360
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70298545)
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Keywords | ATF-2 / Tyrosine hydroxylase / Immunohistochmistry / Catecholamine / Copamine neuron / Neural development |
Research Abstract |
2002年、チロシン水酸化酵素(TH:カテコールアミン生合成の律速酵素)の発現誘導機構として、転写因子ATF-2によるcAMP応答配列(CRE)の転写活性化を報告している(Suzuki T, et al.,JBC 2002)。本年度は、胎生期のATF-2ノックアウト(KO)マウスにおいて、カテコールアミン神経細胞のTH発現について解析を行った。 E18.5 ATF-2 KOマウス(ホモ欠損型)の全脳におけるTHのmRNA量は、野生型と比較して20倍以上の増大が報告されている(Maekawa M, et a1.,JBC 1999)。今回、TH酵素活性およびウェスタンブロット法によるTHタンパク質量を測定した結果、全脳においてはATF-2欠損における変化が見られなかった。そこで、部位特異的な解析を行うため、E14.5およびE18.5脳スライスにおける免疫組織染色を行った。E14.5およびE18.5 ATF-2 KOマウスにおいて、延髄でTHの発現が顕著に増大しており、一方で中脳腹側被蓋野のA10背側神経のTH染色性は消失していた。また、E14.5およびE18.5において青斑核でTHの発現が増大していたが、E18.5では神経突起が不鮮明であった。E18.5において中脳黒質A9ドーパミン神経のTH染色性が消失しており、E14.5およびE18.5において線条体のTHならびにドーパ脱炭酸酵素の染色性が低下していたことから、発達に伴う黒質-線条体のドーパミン神経の消失が考えられた。さらに、末梢神経においても、脂肪組織や心臓での神経終末や交感神経幹の神経細胞体におけるTH染色性の低下が観察された。 これらの結果から、ATF-2は胎生期におけるカテコールアミン神経の正常なTHの発現調節と分化発達において重要な役割を果たしていることが示唆された。
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