2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の増殖と分化のスイッチングを制御する機構の解析
Project/Area Number |
18700365
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
清水 健史 熊本大学, 発生医学研究センター, 研究員 (60398237)
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Keywords | FGF / Notch / GSK3β / β-catenin / 神経前駆細胞 / 細胞分裂 / 神経分化 |
Research Abstract |
これまでに、FGF2シグナルによって神経上皮細胞の増殖が促進される際に働く主要な経路として、PI3K-Akt経路を介したGSK3βの不活性化によるCyclinD1の活性化を明らかにし、GSK3βがFGF2ともう一つの神経系前駆細胞増殖因子Wntシグナルの共通の作用点であることを明らかにしてきた。またFGF2やWntも神経幹細胞の増殖を促進すると同時に細胞の未分化性を維持するが、申請者はその分子メカニズムとして、PI3K-Akt経路を介したGSK3βの不活化がNotchシグナルの標的であるHes遺伝子発現を増強し細胞分化抑制に働くことを見出した。すなわち、FGF2とWntのシグナル交差点GSK3βがNotchシグナルともクロストークすることによって細胞の未分化性を維持する分子機序を明らかにしてきた。さらに、GSK3βの不活化の後、β-cateninタンパク質が核に蓄積し、Notch1細胞内領域と直接相互作用してHes遺伝子群の転写を促進するという機構を見い出した。その際、β-cateninとNotch1細胞内領域の複合体は、coactivatorのp300とも結合し、β-cateninとp300が共存する条件下では、別のcoactivatorであるP/CAFを効率良くリクルートし、その結果Hes1プロモーターが活性化される分子機構を新たに明らかにした。
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