2007 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトエストロゲン膜受容体を介したエストロゲンの脳神経機能調節機構の解明
Project/Area Number |
18700373
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
佐藤 薫 National Institute of Health Sciences, 薬理部, 第一室室長 (10311391)
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Keywords | エストロゲン / グルタミン酸トランスポーター / α型エストロゲン受容体 / Xenopus oocyte / タモキシフェン / 膜受容体 / アストロサイト / BDNF |
Research Abstract |
申請者はエストロゲンが膜局在型α型エストロゲン受容体(mERα)を介した-酸化窒素(NO)産生によってアストロサイトのグルタミン酸(L-glu)トランスポーター(GLAST)の可逆的機能阻害を引き起こすことを明らかにしている. この機能阻害が,アストロサイトに発現しているendotherial nitric oxide synthase(eNOS)を介したNO産生によるものであること,GLASTのS-nitrosyl化による直接的な分子修飾によるものでguanylate cyclaseは関与していないことを薬理学的に明らかにした.さらに,in vitro実験系においてGLASTがNOによりS-nitrosyl化されることをビオチンスイッチ法により確認した. 上記メカニズムの詳細な検討に必要なアストロサイト特異的形質転換を行うため,アストロサイト特異的発現プロモーターであるhGFAPプロモーター下流に蛍光蛋白質をもつレンチウィルスを大脳皮質スライスに適用し,アストロサイト特異的形質転換技術を確立した. Xenopus oocyte強制発現系を用いてGLAST電流を直接測定したところ,DTT処理により電流が増大し,S-nitrosyl化を誘導する薬物(S-nitoroso-L-acetyl penicillamine(SNAP),NNO1)がこれを減少させるという現象を見いだした.この結果は,生体内においてGLASTのトランスポート能がCys残基の分子修飾により正負両方向に調節されている可能性を示唆しており興味深い. 昨年にひきつづきmERαを介してGLASTのトランスポート能を調節する化合物を探索し,ジフェニルブテン構造がこの作用に重要である可能性を見いだした.
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