2006 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病関連分子p75の一塩基多型に起因した機能変化の細胞、分子生物学的解析。
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18700374
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
沼川 忠広 国立精神・神経センター, 疾病研究第三部, 室長 (40425690)
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Keywords | 脳・神経 / 脳神経疾患 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
HPA系機能亢進のモデルとしてラット大脳皮質分散培養ニューロンにdexamathasone(以下DEX)を長期投与した後、BDNFに対する細胞レベルでの生物学的応答の変化を観察した。また、ニューロトロフィンの低親和性受容体p75のSer205Leu多型が、うつ病や自殺行動と有意に関連することが示唆されているため、このp75の多型が神経細胞の機能にどのような影響を及ぼすかを検討するために、培養ニューロンに野生型と変異型遺伝子を過剰発現した場合の細胞生存率の変化を解析した。 DEX長期投与後の生存率を測定したが、DEX単独による細胞死誘導は確認できなかった。興味深いことに、DEX長期投与後においてはBDNFを添加すると、明らかなcell viabilityの低下が観察された。このBDNFによる細胞死の誘導は、GR(グルココルチコイドレセプター)アンタゴニストであるRU486で完全に回復した。次に、DEX長期投与後のBDNFのレセプターの発現をチェックすると、高親和性のTrkBは変化しないが、細胞死に関与するといわれる低親和性p75レセプターの発現が上昇していた。ここで、Ser型およびLeu型p75(205番目のアミノ酸がそれぞれSerおよびLeu)を培養大脳皮質ニューロンに過剰発現させた。Ser型およびLeu型ともに過剰発現において、顕著な細胞死の誘導を見出した。それぞれ、DEX投与による細胞死への感受性の増強は観察されなかったが、Leu型ではSer型に比べると明らかに生存率が高い結果となった。すなわち、Ser型およびLeu型はそれぞれ、過剰発現によりニューロンを細胞死に導く働きを発揮したが、Ser型の方がより毒性が強いことを示す。
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[Journal Article] Impact of the DISC1 Ser704Cys polymorphism on risk for major depression, brain morphology, and ERK signaling.2006
Author(s)
Hashimoto R, Numakawa T, Ohnishi T, Kumamaru E, Yagasaki Y, Ishimoto T, Mori T, Nemoto K, Adachi N, Izumi A, Chiba S, Noguchi H, Suzuki T, Iwata N, Ozaki N, Taguchi T, Kamiya A, Kosuga A, Tatsumi M, Kamijima K, Weinberger DR, Sawa A, Kunugi H
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Journal Title
Hum Mol Genet. 15
Pages: 3024-3033
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