2006 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経の初期発生過程とその病態形成のシグナル伝達
Project/Area Number |
18700375
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮本 幸 国立成育医療センター(研究所), 薬剤治療研究部, 共同研究員 (50425708)
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Keywords | シュワン細胞 / DRG神経細胞 / ミエリン / 共培養 / 末梢神経 / グアニンヌクレオチド交換因子 / Rhoファミリー / 分子神経科学 |
Research Abstract |
末梢神経系の初期発生過程は、シュワン細胞とDRG神経細胞の密接な相互作用により制御されている。本年度は、シュワン細胞とDRG神経細胞の初代共培養系を用い、平成18年度の研究計画に従って、以下の2点を明らかにしたので、ここに報告する。 1)DRG神経細胞から分泌されるシュワン細胞増殖・遊走制御因子の同定 末梢神経系のミエリン形成過程は、Stage I;神経軸索上でのシュワン細胞の細胞増殖・遊走期、Stage II;シュワン細胞が伸張し始める前ミエリン形成期、Stage III;軸索の周りに幾重もの層を形成していくミエリン形成期、の3期に分類される。このうち、DRG神経細胞から分泌され、Stage Iの制御に深く関与する新たなる液性因子を明らかにするため、ハイスループットプロテインアレイを用いて一連のスクリーニングを行った。その結果、新たなる可溶性因子の同定に成功した。現在、それらの因子が、実際のシュワン細胞のミエリン初期発生過程において、増殖・遊走にどのような影響を及ぼすかを検討するために、初代シュワン細胞培養系にフィードバックし、その効果を判定している段階にある。さらに今後、これらの因子が実際の生体内において、試験管内と同等の効果を発揮するか否かを、ラットの座骨神経に直接注入し観察していく予定である。 2)シュワン細胞の初期発生過程を司る中枢的シグナル伝達分子の解明 1)で明らかとなった、DRG神経細胞からの内因性因子とシュワン細胞上の受容体の下流で働くシグナル伝達分子を明らかにするため、特にRhoファミリー周辺分子を中心に、それらの遺伝子に対するRNA干渉能を有する配列をコードしたベクターを作製した。これらをシュワン細胞に発現させ、その初期発生過程における効果を順次検討していったところ、あるRhoファミリーグアニンヌクレオチド交換因子がシュワン細胞の増殖・遊走作用に強い阻害効果を示すことが明らかとなった。現在さらに、このRhoファミリーグアニンヌクレオチド交換因子の上流・下流に介在することが予想されるシグナル伝達分子を、各シグナル分子に対するRNA干渉法、および各種阻害剤などを用いて、検討しているところである。
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Research Products
(3 results)