2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経シナプスにおける新規膜蛋白質ネットワークの機能解析
Project/Area Number |
18700376
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
深田 優子 国立長寿医療センター, (研究所)・遺伝子蛋白質解析室, 特任研究員 (40416186)
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Keywords | 膜蛋白質 / 蛋白質複合体 / 神経シナプス / 神経科学 / 生化学 / てんかん / 質量分析 / グルタミン酸受容体 |
Research Abstract |
神経シナプスにおける生理的な膜蛋白質複合体を同定し、その機能を解析することは神経細胞の機能を理解する上で重要であるばかりでなく、様々な病態理解や治療にもつながることが期待される。申請者は最近、シナプス可塑性の根幹を成すと考えられているAMPA型グルタミン酸受容体複合体を生化学的に脳組織より精製し、構成分子を同定した(Fukata Y et al, J.Cell Biol. 2005)。 本研究では代表的なシナプス足場蛋白質PSD-95が裏打ちする新規膜蛋白質複合体の生理機能を明らかにし、シナプス形成、可塑性の新たな分子機構の解明を目指ざす。今年度はPSD-95に結合する蛋白質をラット脳から精製し、質量分析法にてその構成蛋白質を同定した。その結果、主要な構成蛋白質としてLGI1、ADAM22およびStargazinを見出した。これら3つの蛋白質はいずれもヒトおよびマウスの遺伝学的解析により、てんかん・けいれんに関連のある遺伝子として報告されているものだった。このようによく似た神経症状を示す3つの遺伝子が一つの蛋白質複合体の構成成分として見つかった例はこれまで殆ど報告されていなかった。これら3つの蛋白質の結合様式を解析した結果、分泌蛋白質であるLGI1は膜蛋白質ADAM22を受容体として結合し、ADAM22はPSD-95によりシナプスに裏打ちされることが明らかになった。一方、家族性特発性部分てんかんの家系で見られるLGI1の変異蛋白質はADAM22とは全く結合しなかった。さらに、LGI1はADAM22と結合することによりAMPA受容体の機能を促進することを電気生理学的に明らかにした。AMPA受容体機能を制御する新たなリガンド、受容体を同定したといえる(Fukata Y et al, Science. 2006)。このように、今年度の研究計画は達成できたと考えている。
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