2006 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動の発現と抑制に関わる前頭眼野と上丘の神経機構
Project/Area Number |
18700380
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊澤 佳子 東京医科歯科大学, 大学院歯学総合研究科, COE拠点形成特別研究員 (40372453)
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Keywords | 前頭眼野 / 上丘 / サッケード / 固視 / オムニポーズニューロン |
Research Abstract |
動物は,視野周辺部に興味ある物体が出現すると,速い眼球運動(サッケード)を行い視標を中心窩に捉える。従ってサッケードの発現とは、今興味ある対象から次の対象に興味を移す注意の移動のメカニズムとも言える。本研究は微小電流刺激でサッケードの抑制を引き起こす前頭眼野の部位と、サッケードの司令を出すと従来から考えられてきた古典的前頭眼野の部位がどのように相互に働きサッケードの発現と停止の制御を行っているかを解析し、その上丘に対する作用を明らかにしようとするものである。 今年度は、訓練したサルにおいて前頭眼野の微小電流刺激を用いたmappingを行いサッケードが誘発される古典的前頭眼野と、電気刺激によってサッケードの発現が抑制される部位を同定した。そしてその各々の部位から単一神経細胞活動を記録し、その部位の神経細胞の性質を解析した。前頭眼野では視覚性ニューロン、サッケードニューロン(運動性ニューロンと視覚運動性ニューロン)、滑動性眼球運動ニューロンが記録された。さらにそれらの細胞の活動に加えて固視に関連するニューロンが見い出された。この細胞は、サルが固視taskにおいて一点を固視している固視期間中に強い持続発射を示した。そこで、その発火頻度と固視点の有無との関係を調べた。その結果、固視ニューロンの活動は固視点の光を400ミリ秒間消しても減少せずに持続するものがあり、この活動は中心窩の光刺激に対する応答ではなく固視行動そのものに関連していることが解った。そして、サルが視覚誘導性サッケードおよび記憶誘導性サッケードtaskにおいてサッケードを行うと、固視ニューロンの活動は減少した。また視覚性ニューロン、サッケードニューロン、固視ニューロンの各ニューロンの前頭眼野内での存在部位と、サッケードの抑制またはサッケードの誘発に必要とした刺激電流閾値の分布との関係を調べ、抑制野、サッケード野における各々の細胞の分布を検討した。さらに同様の解析を上丘で行うために、上丘の微小電流刺激と単一神経細胞活動の記録を開始した。
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