2008 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動の発現と抑制に関わる前頭眼野と上丘の神経機構
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18700380
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊澤 佳子 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40372453)
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Keywords | 前頭眼野 / 上丘 / サッケード / 固視 / オムニポーズニューロン |
Research Abstract |
動物は、視野周辺部に興味ある物体が出現すると、速い眼球運動(サッケード)を行い視標を中心窩に捉える。従ってサッケードの発現とは、今興味ある対象から次の対象に興味を移す注意の移動のメカニズムとも言える。本研究は微小電流刺激でサッケードの抑制を引き起こす前頭眼野の部位と、サッケードの司令を出すと従来から考えられてきた古典的前頭眼野の部位がどのように相互に働き、サッケードの発現と停止の制御を行っているかを解析し、その上丘に対する作用を明らかにしようとするものである。 今年度は平成18、19年度の研究を継続し、訓練したサルの前頭眼野において眼球運動の抑制に関わると考えられる固視中に強い持続発火を示す固視ニューロンの神経活動の解析を行った。この固視ニューロンの活動は、固視期間中に固視点を消しても減少しなかったので、網膜中心窩の光刺激に対する視覚性応答ではなく固視行動そのものに関連していると考えられる。さらに、サッケードの開始・停止と固視ニューロンの発火の開始・停止のタイミングがどのような時間関係にあるかを1標本Kolmogorov-Smirnov検定を用いて検討した。その結果、固視ニューロンの発火は通常、視覚誘導性および記憶誘導性サッケードの開始に先行して減少することがわかった。前頭眼野のサッケード抑制部位では固視ニューロンが多数記録されたことから、この部位は固視の際に働き、視野内に現れる視標に対して反射的に起こる眼球運動の抑制に関わるものと考えられる。
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