2006 Fiscal Year Annual Research Report
強化学習仮説に基づく淡蒼球の役割について明らかにする研究
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18700383
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
上田 康雅 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60332954)
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Keywords | 大脳基底核 / 強化学習 / 行動選択 / 線条体 / 淡蒼球 / ドーパミン |
Research Abstract |
我々の研究室では運動を遂行する直前の待機期間に課題関連の活動を示す線条体の投射細胞の中に、多くの行動価値をコードしている細胞が存在することを報告した。しかしながらこれらの細胞が、待機期間以降(運動遂行期間および強化信号提示期間)の期間にどのような情報をコードするのかということに関しては、明らかではなかった。また、前回解析に用いた細胞に加えて、記録された細胞の中には運動遂行期間あるいは強化信号提示期間に、課題に関連した放電活動が現れるものも多く存在しており、これらの細胞がどのような情報をそれぞれの期間でコードしているのか、また待機期間に行動価値をコードしていた細胞との関係はどのようになっているのかということも明らかではなかった。今回これらのことを明らかにするため、すべての期間において細胞の放電活動を評価した。その結果、運動を遂行する直前の待機期間だけでなく、運動遂行期間および強化信号提示期間においても行動価値をコードしていると考えられる細胞群が存在することが解った。加えて、運動期間中には運動関連の情報(運動方向など)を、また強化信号提示期間においては強化信号に関連した情報をコードする細胞が多数見つかった。このことは、線条体内において、一試行遂行中にコードする情報が変化していくことを示唆している。待機期間・運動遂行期間・強化信号提示期間のどの期間においても行動価値をコードする細胞は観察されたが、運動遂行期間および強化信号提示期間に行動価値をコードする細胞群と、待機期間に行動価値をコードする細胞群とは、線条体の内部において別の細胞群であることが示唆された。待機期間に行動価値をコードする細胞群は、運動遂行期間および強化信号提示期間に行動価値をコードする細胞群より、線条体の吻側側(前交連より前側)により多く存在することが示唆された。このことは、線条体内部で行動価値情報のコードに対して時間的・空間的な特性が存在することを示唆している。この成果については、平成18年度の第29回日本神経科学大会で報告し、現在論文を執筆中である。
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