2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動発現・調節における大脳皮質インターニューロンの機能的役割
Project/Area Number |
18700386
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
礒村 宜和 The Institute of Physical and Chemical Research, 脳回路機能理論研究チーム, 副チームリーダー (00415077)
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Keywords | 神経生理学 / ラット / 大脳皮質 / 運動野 / 神経細胞 |
Research Abstract |
本研究計画において、ラットの大脳皮質運動野における運動の発現や調節に関与する介在細胞の細胞サブタイプを同定するために、1)脳定位固定ラットに運動課題を効率よく学習させる自動訓練装置を開発するとともに、2)無麻酔(行動・睡眠)状態での傍細胞記録とマルチユニット記録の電気生理学的実験系を確立した。運動課題の訓練に関しては、頭部へのアルミニウム製固定具の取付け手術を施した被検ラットに飲水制限を課し、独自に開発した脳定位固定オペラント訓練装置(特許出願中)にて右前肢でレバーを押すことにより報酬のサッカリン水を得られる自己ペース・レバー押し運動課題を学習させた。この装置により訓練開始第一日目か二日目には運動応答と報酬獲得との相関が成立し、2週間以内に課題の学習を完成させることに成功した。さらに同訓練装置6台を自動化・集中制御化することにより、訓練済みラットを週に数頭の割合で効率よく記録実験に供することを実現した。次に、このような無麻酔・行動中の脳定位固定ラットをもちいて、傍細胞記録法により単一介在細胞の発火活動を安定して記録した後に、付加したバイオサイチンを可視化するとともにパルバルブミンやカルレチニンとの蛍光三重染色を施して、記録細胞を機能的かつ形態的に同定することを可能にした。最終的に74頭の動物に課題訓練を施し、運動関連活動を示し可視化した多数の運動野細胞(うち16細胞はFS介在細胞)の実験データを得た。その結果、FS介在細胞は、大脳皮質の層に関わらず、運動の実行コマンドをゲートするのではなく、むしろ錐体細胞と協調してコマンドを形成するという結論に至った。この研究成果は学会発表を終え、現在、論文を投稿中である。
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