2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損マウスを用いたオリゴアデニル酸合成酵素の生理機能の解析
Project/Area Number |
18700394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角田 茂 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80345032)
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Keywords | ノックアウトマウス / オリゴアデニル酸 / インターフェロン / ウイルス感染 / 炎症性疾患 |
Research Abstract |
代表的なインターフェロン(IFN)誘導遺伝子の一つである2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素(OAS)遺伝子はウイルス感染時に強力に誘導され、dsRNA依存的に2',5'-オリゴアデニル酸(2-5A)を産生する。この2-5AによりRNaseLが活性化し、RNAを分解することによりウイルス複製を阻害する。この系は「2-5Aシステム」と呼ばれ、古くから知られているIFNによるウイルス感染防御機構であるが、これ以外のOASの機能についてはほとんど研究がなされていなかった。 そこで本研究では、OASの生理機能を明らかにすることを目的として、独自に樹立した5種類のOASファミリー遺伝子欠損(Oas1a^<-/->、Oas1c^<-/->、Oas2^<-/->、Oas1a/Oas2^<-/->、Oas1/Oas2/Oas3^<-/->)マウスの表現型解析を行った。炎症モデルとしてのコンカナバリンA(ConA)誘導肝炎および胎仔繊維芽細胞を用いた解析から、Oas1aは新規のサイトカインシグナル抑制因子であることが明らかになった。一方、Oas2にはこのような機能はほとんど認められなかった。また、129^*B6交雑の遺伝的背景ではOas1/Oas2/Oas3遺伝子が欠損してもOas1d^<-/->マウスで報告されたような卵子形成異常は認められなかった。戻し交配後のC57BL/6J背景においても、少なくともOas1a^<-/->およびOas2^<-/->マウスでは異常が認められず、他のファミリー遺伝子欠損マウスの解析も含めて、より詳細な検討が必要であると考えられる。
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