2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損マウスを用いたオリゴアデニル酸合成酵素の生理機能の解析
Project/Area Number |
18700394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角田 茂 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (80345032)
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Keywords | ウイルス / 感染防御 / マウス / インターフェロン / 発生工学 |
Research Abstract |
代表的なインターフェロン(IFN)誘導遺伝子の一つである2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素(OAS)は、「2-5Aシステム」と呼ばれるIFNによるウイルス感染防御機構を担っていることが古くから知られていたが、それ以外のOASの機能についてはほとんど研究がなされていなかった。そこで我々は、マウスOAS遺伝子のクローニングおよび解析を行い、さらにOASの生理機能を明らかにする目的でこれまでに5種類のOASファミリー遺伝子欠損(Oas1a^<-/->, Oas1c^<-/->, Oas2^<-/->, Oas1a/Oas2^<-/->, Oas1/Oas2/Oas3 (OASC)^<-/->)マウスの樹立に成功している。本研究ではこれらのマウスを用いて表現型の解析を行なったところ、ファミリー遺伝子の中でOas1aは特徴的に(1)細胞内ウイルス認識において下流実行因子RNaseLとは共役しない新規機能を持ち、(2)炎症応答時においてはサイトカインのシグナルを負に調節するが、STAT1のリン酸化シグナルには直接関与せず未知の機構を介していること、が示唆された。また、OAS遺伝子は卵巣で構成的に非常に強く発現しているものの、OAS遺伝子クラスターを欠損するOASC^<-/->マウスにおいても産仔数等に異常は認められないことから、(3)OASは通常飼育条件下では卵子発達に特に必須ではないことが明らかになった。これらのことから、Oas1aが特異的に「2-5Aシステム」の概念から逸脱する新機能を持つことが明らかになり、OASファミリー遺伝子欠損マウスを用いた更なる解析が必要であると考えられる。
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