Research Abstract |
本年においては,昨年度に引き続き眼球運動直前に発生する脳波の解析を行った.特に,独立成分解析を使用し,眼球運動に関連する脳波を単一試行解析によって抽出できるかを検討した.使用した独立成分解析は,リファレンス信号を使用したFastICAと一般的に使用される独立成分解析である, その結果,眼球運動に関連していると思われる独立な成分を抽出することが可能であった.また,眼球運動を行っていない際には同様の独立な成分が抽出することが可能でないために,この独立な成分を眼球運動に関連している成分だと特定した. 次に,眼球運動に関連している独立な成分を抽出するにはどのようなアルゴリズムを使用することが適切であるかを考察するために,AMUSE, NG-FICA, FastICA, JADEを使用して眼球運動に関連する独立な成分の抽出を試みた. その結果,FastICAとJADEを使用した際の眼球運動に関連する独立な成分の抽出率は90%以上であった.AMUSEでは,眼球運動に関連しない独立な成分が多く抽出された.NG-FICAにおいては,抽出された眼球運動に関連する独立な成分は4種類の独立成分解析のアルゴリズムの中で最も適切なものを抽出したが,独立な成分を抽出する率が著しく悪かった.本研究においては,インタフェースへの入力信号となる眼球運動に関連する独立な成分を抽出することが一番の目的となるために,FastICAとJADEが本目的に対して適切であるということができる. また,眼球運動に関連する独立な成分を1つのみ抽出することが必要であると考えた場合,FastICAはそのような拡張をすることが可能であるが,JADEはそのような拡張をすることが難しい.よって本研究においては,FastICAが最も目的に呈していると結論づけた.
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