2006 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムMRIによる健常軟骨及び変性軟骨の物理的特性の解明
Project/Area Number |
18700414
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助手 (70376515)
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Keywords | 関節軟骨 / 再生医療 / 変性 / 電荷密度 / 力学特性 / 粘弾性 / 自己拡散係数 |
Research Abstract |
1.変性軟骨モデルの確立 仔ウシ肩関節より関節軟骨を採取し,0.1U/mlコンドロイチナーゼ処理と30U/mlコラゲナーゼ処理をそれぞれ行った.処理前後に試料の厚さを計測し,同時に静的圧縮試験を行い応力緩和挙動を観察した.その結果,試料厚さはコラゲナーゼ処理群において上昇したのに対し,コンドロイチナーゼ処理群では有意な変化は見られなかった.応力緩和ではコラゲナーゼ処理群において最大応力で68.6%,平衡弾性率で65.6%に低下したのに対し,コンドロイチナーゼ処理群では最大応力で25.7%,平衡弾性率で11.2%に低下した.さらに動的圧縮試験及び動的せん断試験を両試料に行ったところ,コンドロイチナーゼ処理群では圧縮特性で損失正接が上昇したのに対し,コラゲナーゼ処理群ではせん断特性で損失正接が上昇する傾向にあった.これらの酵素処理が異なることによる差異は,軟骨においてコラーゲン,プロテオグリカンが果たす役割が異なることによるものと考えられる. 2.Diffusion-MRIの軟骨細胞三次元ゲル培養モデルへの適用 仔ウシ肩関節より軟骨組織片を採取後,軟骨細胞を酵素的に抽出した.細胞の懸濁液と低融点アガロース溶液を混合することで軟骨細胞・アガロース複合体を作製し,37℃,5%CO2環境下で培養した.培養0,7,14,21,28日ごとにMRIにより自己拡散係数(Diffusion coefficient)を測定した.同時に圧縮特性,硫酸化グリコサミノグリカンの定量を行いMRIによる測定結果との相関を検討した.その結果,自己拡散係数と平衡弾性率,硫酸化グリコサミノグリカンの含有量との間には強い相関が見られた.これよりMRI測定シークエンスを改善し測定に要する時間を短縮する必要はあるが,Diffusion-MRIを用いることで関節軟骨の物理的特性を評価できる可能性が示された.
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