2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢歩行者の交通事故防止を目的とした速度弁別検査に関する研究
Project/Area Number |
18700416
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
寺田 裕樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (40360002)
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Keywords | 交通事故 / 高齢歩行者 / 老化 / 認知科学 / 両眼立体視 |
Research Abstract |
我々が住む秋出県においても,見通しの良い直線道路において高齢歩行者は車が接近しているにも関わらず道路を横断しようとして交通事故に遭うケースが多発している.この原因として我々は,加齢による感覚機能の低下により接近してくる車の速度を誤って知覚している可能性を考えた.過去の研究において,被験者に実空間の視覚刺激が接近してその刺激の速度を弁別してもらうシステムを構築した.そめ結果,高齢被験者の中には成人健常者やそれ以上に接近速度を弁別できる高齢者もいたが,極端に能力が低下した高齢被験者を発見できた.しかし,この能力の低下の原因は明らかに出来なかった.仮想空間での視覚刺激を用いることにより,接近を知覚する能力は実空間とで分割できる.そのため,仮想空間の視覚刺激を呈示し,接近速度を弁別する能力を検査するシステムを構築した.次に,各パラメータを決定するため,立体映像のパラメータから観察者が得る奥行き距離知覚特性の理論式を導出した.市販の液晶シャッター眼鏡方式立体カメラを用いて立体映像を呈示し,理論式から得られる距離知覚特性と液晶シャッター眼鏡によって観察者から得られた距離知覚特性と比較検討した.その結果,観察者から得られた距離知覚特性は,我々が導出した理論式にほぼ一致することが明らかになった. 次年度はこれらの結果を用いて様々な視覚刺激(たとえば大型スクリーンとプロジェクタを用いて実際の交通環境のように視覚刺激を大型化するなど)を作り同様に検査することである.一方で,より自然な人工現実感を作り出すには観察者個々の立体視機能に応じた適正条件の調整可能な3次元空間表示装置が必要である.また,年齢による心理的な視空間効果(例えば,高齢者は接近速度を過大評価または過少評価するのか)を検査する必要があるので,今後検討したい.
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Research Products
(1 results)