2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の膜コンダクタンス変化に着目した単球の内皮細胞下侵入機構の解析
Project/Area Number |
18700420
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 助手 (70412161)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究では、単球の接着および侵入過程において内皮細胞の膜に電気的な変化が起こるであろう点に着目し、電気生理学の手法を用いて膜抵抗の変化を測定することを目的とした。 まずヒト血管内皮細胞(ヒト月齊帯静脈血管内皮細胞,HUVEC)をカバーグラス上に播種して培養し、血管内壁状態に近い内皮細胞単層を作製した。そのカバーグラスをチャンバー上にセットし、正立型赤外微分干渉顕微鏡観察下で電極をマニピュレータで操作して細胞へ当てた。電極は径1.5mmのガラス管を熱で溶融しながら引くことで先端抵抗10MΩとし、内部に細胞内液を人工的に再現した液(主成分K-Gluconate)を充填した。チャンバーにはO_2/CO_2(95/5%)混合ガスのバブリングにより酸素付加とpH調整を施した溶液(主成分NaCl)を37℃にて潅流し、細胞の状態を良好に保持した。内皮細胞に当てた電極に陰圧を付加してWhole cell patch clamp状態にて膜電位を連続的に記録した。膜内電位は細胞やPatch clampの精度にもよるが、-45〜-60mV程度であった。膜抵抗は、パルス状に印加した電位(保持電位+10mV,5ms)に対する電流応答を読み取り算出した。Patch clampの精度により大きくばらついたが、平均して200MΩであった。 計画ではこれら内皮細胞に血液から分離した単球を投与して、単球接着および内皮下侵入時における膜電位変化を記録する予定であったが、潅流液の流量および温度の変動に起因する記録の安定性や再現性の低さを改良することに多くの時間を費やした。液流量の細かな変動が、ずり応力に敏感な内皮細胞の膜特性にダイレクトに影響したと考え、一定に保持した水位差にて層流で潅流する方法に変更した。記録の安定性を達成後、H19年度より単球の接着、侵入過程における内皮細胞のダイナミックな状態変化の記録を行う。
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