2007 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞を用いた骨再生に伴う奇形腫形成の自殺遺伝子を利用した抑制法
Project/Area Number |
18700427
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
遠藤 裕介 Okayama University, 医学部歯学部・附属病院, 助教 (30423297)
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Keywords | ES細胞 / 骨再生 / hTERT-TK / テロメラーゼ / ヌクレオフェクション / ガンシクロビル |
Research Abstract |
昨年度のvitroの結果をもとに、本年度はvivoの実験を中心に腫瘍形成の検討を行った。 動物実験は、下記の2つの実験モデルで行った。 (1)奇形腫の形成とその制抑効果を確認するために皮下に未分化な細胞とhTERT-TKを導入したES細胞を注射する実験モデル (2)骨形成を確認するためにマクスの頭蓋冠の骨欠損部に対して細胞移植を行う実験モデル 皮下への注射の実験では、未処理のES細胞を注入した部位には巨大な腫瘍形成が認められたが、hTERT-TKを導入したES細胞を使用しガンシクロビルを投与した場合には、奇形腫の形成がおこらずhTERT-TKの腫瘍形成の抑制効果を証明した。 骨欠損モデルへの細胞移植の実験では、腫瘍学の論文を参考とし、移植後3-10日にガンシクロビルの投与を行った。未分化なES細胞を移植した部位には、約70%の確率で腫瘍が形成されたが、hTERT-TKを導入したES細胞を移植した部位の腫瘍形成率は約30%であり、腫瘍形成抑制作用を持つことを示した。しかし、このレジメンでガンシクロビルを投与すると、hTERT-TKを導入したES細胞を移植した部位には、壊死組織が観察され、骨形成はまばらであった。そのため、ガンシクロビルの投与時期を遅らせることで、ある程度の骨再生が観察され、ガンシクロビルの投与方法などの調整で、骨形成と腫瘍形成の調整が可能であった。 ここまでの実験で予定していた実験をすべて終了した。この成果を、第22回日本整形外科学会基礎学術集会で報告した。昨年度の実験成果とも併せ、論文を執筆中である。
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