2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノミセルを用いた組織接着性ゲルの止血材・薬物放出マトリックスへの応用
Project/Area Number |
18700432
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村上 義彦 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 特任助教授 (00339748)
|
Keywords | 止血材 / 組織接着性 / ハイドロゲル / 高分子ミセル / ブロックポリマー / バイオマテリアル |
Research Abstract |
外科手術の際には、血液凝固の最終段階の原理を利用するフィブリン系止血材や、アルブミンやゼラチンをグルタルアルデヒドやホルマリンで架橋するゼラチン/アルデヒド系止血材等の、生体由来物質を含む止血材が主に用いられている。しかしヒト由来物質を用いる限り、エイズや肝炎ウィルス等の感染の危険性が高く、動物由来物質を用いる場合は、異種タンパク質に対するアナフィラキシーショックや狂牛病等の感染の危険性が生じる。また、グルタルアルデヒドやホルマリンの様な低分子架橋剤は、組織に浸透して組織障害を生じる。そのため、非生体由来物質のみを用い、組織浸透性が低い止血材の開発が急務であると言える。そこで本研究では、ブロックポリマーが自発的に形成するナノ集合体である「高分子ミセル」に着目し、表面にアルデヒド基を有する高分子ミセル、側鎖にアミノ基を有する高分子、及び生体組織表面がシッフ塩基を介して形成する新しい組織接着性ゲルを開発し、「止血材」や「薬物放出マトリックス」として応用することを目的とする。本年度は、様々な条件下において、ブロックポリマーが形成する高分子ミセル及びポリアミン類を混合することによって、止血材用途に適した組織接着性ゲルを形成する最適な条件を明らかにした。さらに、内部に薬物(アドリアマイシン)を封入したミセルを用いてゲルを形成し、その薬物放出特性を評価した。その結果、局所的に薬物を保持することによって薬物放出特性を制御できることがわかった。
|