2007 Fiscal Year Annual Research Report
生理機能の総合モデルに基づく病態の定量化とその制御
Project/Area Number |
18700448
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
陸 高華 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物制御システム研究チーム, 研究員 (00392176)
|
Keywords | モデル / 病態生理 / 制御 / 救急 / 脳低温療法 / 麻酔 / システム医療 / 内部モデル |
Research Abstract |
患者生理モデルを用いた理論解析は治療行為の評価、患者の予後予測、治療方策の設定、ひいては診断法や治療法そのものの発展に重要であり、その臨床的、理論的意義が極めて大きいと考えられる。本研究は集中治療室における重症患者の呼吸系、循環系、代謝系、酸塩基系、神経系の生理機能の同時集中管理を念頭に、各基本生理状態と臨床管理処置との定量関係を中心に、患者の病態生理機能の統合モデルを構築すると同時に、臨床応用のための生理機能制御システムの確立を目的としている。特に、脳低温療法の患者を研究対象に、複数の病的生理機能の新しい集中管理法の発見を試みる。したがって、本研究は脳低温療法の臨床に有益だけではなく、集中治療室における他の重症患者の全身管理およびそのための医療チーム編成にも有意義である。また理論的にも「システム医療」の実現につながると期待される。本年度では、これまでに構築した温熱系、循環系と薬理系の患者生理機能統合モデルを用いて、脳低温療法による頭蓋内圧亢進症管理のための麻酔薬投与法を制御シミュレーションにより検討した。また、統合モデルにおける内臓セグメントを肝臓、膵臓、腎臓と胃腸に分けて、血中グルコース、インスリンとグルカゴンのダイナミクスを同時に表現できるように、統合モデルを拡張した。それにより、集中管理下の重症患者の臨床に見られる高血糖症の病態メカニズムや糖尿病における高次脳機能の役割の解明に役に立つと考えられる。来年度は、外部医療機関との協力により、構築した生理機能統合モデルを内部モデルとし、複数の生理機能を同時に管理できる新しい制御則をまず確立する。次に、集中治療室における種々の医療装置の統合を試みる。さらにエアポンプ、シリンジポンプと体温管理装置を統合させ、呼吸、循環、代謝、薬理(麻酔)の集中管理を可能にする実験装置を構築する。
|