2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700451
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浦上 祐司 Hokkaido University, 北海道大学病院, 医員 (20399851)
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Keywords | リハビリテーション医学 / 摂食・嚥下障害 / 嚥下音 |
Research Abstract |
前回の報告では,嚥下音を加速度トランスデューサーで捉え,それをVS波形とし,Sa・Sb・Scに分けその持続時間,面積を求める分析した.さらに単位時間あたりの音圧を比較するため,面積(A)を持続時間(t)で除したもの(以下A/t)で比較した.健常者5名について,A/tをSa-Sb-Sc間,一口量5-10-15ml間について二元配置分散分析で比較したところ,Sa-Sb-Sc間についてはSa-Sb,Sb-Sc間には危険率1%で有意差を認めたが,Sa-Sc間には有意差を認めなかった.A/tの変動係数については5-10-15ml間で比較するとSc>Sc>Sbの傾向になっており,A/tはSbが最も大きい傾向であった.健常者2名について各種食物形態における変動係数を求めたところ,Sbが最も低い値であった.Saは食塊先端が口腔から喉頭蓋谷に達したときに出現する波形であり,随意的な舌の送り込みの時期であるため変動が生じやすいと思われる.またVS・VF同時撮影画像を仔細に観察すると舌による食塊の送り込みと同時に喉頭挙上が始まっており,Saには喉頭挙上の音が含まれていると推察される.それに対してScは喉頭下降の音を含んだ部分である.Saに喉頭挙上音を含みScに下降音を含むと考え,一元的にSaの変動に関連してScの変動が生じる可能性があると推察した.Sbの変動が少ないのは,嚥下反射時の波形であり,非随意的な部分であるためと考えられる.それに加えてA/tではSa・Scを上回る傾向にあり,音圧は最も大きく,安定していた.今回はA/t,その変動係数を比較検討のデータとして採用したが,今後それらの定量化を検討していきたい.今回嚥下障害患者の分析までできなかったが,嚥下音の由来のさらなる解明,また臨床応用への道を模索していきたい.本報告は現在摂食・嚥下リハビリテーション学会誌に投稿し,修正文を再査読中である.
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