2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミラーボックスを用いた神経リハビリテーションに関する研究
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18700462
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田平 隆行 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50337432)
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Keywords | ミラーニューロンシステム / 音読課題 / 音楽課題 / 経頭蓋磁気刺激法 / 運動誘発電位 / 皮質運動野 |
Research Abstract |
本年度は,ミラーボックス実験の前段階として音読,音楽課題によるミラーニューロンシステムに関する研究を実施した. まず,右利きの健常成人11名を対象に,音読課題の観察・模倣・実行時における手指支配運動野の興奮性変化について磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation : TMS)を用いて調べた.実験条件は 1)安静状態(Control),2)VTR画像の観察(Observation),3)VTR画像の追従(Imitation),4)朗読(Reading),5)黙読(Silent reading)とした.これら5つの条件をランダムに実施し,TMSを与え運動誘発電位(motor evoked potential : MEP)を右手第1背側骨間筋(first dorsal interosseous : FDI)から導出した.その結果,Control条件に比較して,すべての条件でMEP振幅の増大が見られたが,特にReading条件での増大が顕著であった.これらの結果は,音読課題の観察,模倣,実行課題におけるFDI支配運動野(primary motor area : M1)の賦活を示しており,"運動性言語野(Broca野)-M1",いわゆるミラーニューロンシステムの関与の可能性を示唆するものと考えられた. 次に,音楽課題が皮質運動野(primary motor area : M1)興奮性に及ぼす影響について経頭蓋磁気刺激法を用いて右利きの健常人10名に対し左右の第1背側骨間筋から運動誘発電位を誘発することで検討した.左右のFDI共にControl条件に比較して,課題曲の聴取,歌詞朗読,歌唱,すべての条件でMEP振幅の増大が見られ,特に歌唱時におけるM1の興奮性の増大が顕著であった.これらの結果より,音楽課題,特に歌唱課題が手指支配M1の興奮性に影響を与えることが示唆された.
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