Research Abstract |
本研究の目的は,視覚障害者の空間情報入手ツールとして注目される"触知案内図"について,触知案内図上で示される項目(現在地・トイレ等)とその触知記号のイメージの関係,触知可能な記号サイズを心理物理実験により明らかにし,触知記号に関する標準化に貢献することである. 本年度は,実際に実用化されている触知記号の中で,代表的な触知記号である丸(ベタ・中抜)と三角(ベタ・中抜)と四角(ベタ・中抜)に着目して,様々なサイズの丸・三角・四角のサンプルを作成し,各記号を識別させる実験を行った.本実験では,触知経験年数によらず触知可能なサイズを明らかにするために被験者は初心者(晴眼者)とし,評価指標は,"識別時間""正答率""確信度"を採用し,3つの評価指標の総合評価で,ヒトの指先で識別し易い各記号サイズを明らかにした.また,触知記号のエッジの影響や加齢による触知覚特性の変化についても調べる実験も実施した.現状では,触読年数・年齢・触知記号の形状・エッジによらず識別し易い基本図形の触知記号のサイズが明らかになった. 次年度は,実際に実用化されている触知記号を参考にして,触知記号サンプルを項目別に作製し,項目別(現在地・トイレ・階段等)の触知記号のイメージについて,視覚障害者から被験者を募集し,アンケート調査を実施する.そして,調査結果から,イメージに合わない項目の記号について,印刷業者や関連機関の専門家や利用者に,項目別に推薦する触知記号を挙げてもらう.最後に,項目別に推薦された触知記号のサンプルを作製し,それらの記号に関して視覚障害者を被験者としてアンケート調査を実施する.
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