2006 Fiscal Year Annual Research Report
音源に圧電振動子を用いた人工喉頭システムのための音質改良と制御方法に関する研究
Project/Area Number |
18700481
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大惠 克俊 立命館大学, 理工学部, 講師 (80388123)
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Keywords | 人工喉頭 / 圧電振動体 / 圧電セラミックス / 圧電高分子 / 筋電位 / 喉頭原音 |
Research Abstract |
本年度の研究において,計画に挙げたもののうち,「ゆらぎを含む印加波形の最適化」に関しては十分な成果が得られなかったが,その他の計画の中で以下の成果が得られた.1)新形状音源のシミュレーションと試作,2)新素材を用いた圧電発音体の試作,3)制御信号としての利用を目的とした,頚部筋電位信号の測定. 1)については,音源に意図的に剛性の弱い箇所を設けることによる低共振周波数化と振幅の増加を目的とし,そのシミュレーションとその結果に基づき試作を行った.その結果,試作音源の低共振周波数化と振幅の増大はみられたが,周波数特性に関しては改善の必要があると認められた. 2)については,これまで用いてきた圧電セラミックスの代替として,圧電高分子(PVDF)を用いて音源の試作を行った.圧電高分子は圧電セラミックスと比較して剛性が低く,またブロードな周波数特性が期待できる材料である.本材料を円筒形やタック構造に配置することにより,共振周波数の低周波数化が実現された.今後は小型化や形状の最適化についての研究を行う. 3)については外喉頭筋の一種で,声帯の緊張や弛緩に関わる胸骨舌骨筋の表面筋電位の測定と,その制御信号としての有効性についての研究を行った,その結果,胸骨舌骨筋の筋電位信号は音声の高低変化時と音声の開始時に一定の信号変化を生じることが確認された.この事実から,胸骨舌骨筋の筋電位信号は人工喉頭の制御信号(特に発声開始と高低制御)として有効であると考えられる. 上述の3件の結果のうち,1)については国際会議において2件の口頭発表,国内会議において2件の口頭発表を行った.
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