2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の移動時における安全性と身体感覚の特性に関する研究
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18700482
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
多田 美香里 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 講師 (30425037)
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Keywords | 空間記憶 / 高齢者 / 安全性 / 移動 / 年齢差 / 身体幅 / 身体感覚 / 加齢 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者が安全に移動するために何が必要かを検討するための基礎的研究として実施し、高齢者が自分の身体の大きさや自分を取り巻く空間の大きさをどの程度正確に把握し、また経験によってどの程度修正されるのかを調べたものである。接触せずに通ることのできる空間の大きさを離れた場所から目視によって判断させた場合、現実に通過可能な空間の大きさと違いがあるのかどうかについて実験を行った。その結果、通過経験のない空間に対しては、現実に通過可能な空間よりもより大きい空間でないと通過不能と感じることが示された。そこで、空間の物理的大きさの把握が正確かどうかを調べたところ、物理的大きさよりもより小さく把握していることが明らかとなった。この傾向は観察距離が近くなるにつれて減少するのではないかと予測されたが、観察距離に関わらずより小さく把握された。通過経験のない空間に対しては、空間の大きさをより小さく感じてしまうという特性に起因して、身体が通ることのできる大きさの空間に対して、さらにより広くなければ通過不能であると感じられるのではないかと思われる。この結果は年齢に関わらず、若年者にも高齢者にも同様に得られた。また、実際に通過した後は、通過可能な空間を正確に判断することができ、接触の予測もかなり正確に行われた。しかし、遅延時間後に若年者は過度に修正を行い、高齢者はあまり修正を行わないという結果も得られた。空間を見誤る程度は年齢に関わりなくみられるが、空間把握の修正の仕方には年齢による相違が見られると思われる。今後は、遅延時間による影響や身体幅の増減による影響について空間把握の加齢による変化を検討し、高齢者の空間把握の特性を明らかにすることを目指すと同時に、荷物を持った移動や移動補助機器を用いた移動の際の身体感覚および空間把握の特性についても検討していく。
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