2007 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経系へのノイズ刺激による力調節機能の向上とその生理学的メカニズムの解明
Project/Area Number |
18700487
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神崎 素樹 Kyoto University, 大学院・人間環境学研究科, 准教授 (30313167)
|
Keywords | ノイズ / 力学的刺激 / 自律神経活動 / 力調節安定性 |
Research Abstract |
指先への機械的振動刺激(ホワイトノイズ)により自律神経活動の指標である心電図R-R間隔、beat-by-beat血圧および筋交感神経活動の変動が変化したことを実験的に確かめた。この結果より、指先への機械的ノイズ刺激により自律神経活動が変調することが明らかとなった。 ノイズ刺激による自律神経活動を介した力調節能力を検討した。2.5%、5%、10%、15%、20%MVCの各目標値に一致させる等尺性膝伸展力調節課題時に大腿四頭筋の筋電図および発揮張力の変動を取得した。この課題の後半に自律神経活動に変調を与える機械的ノイズ刺激を指先に与えた。ノイズ刺激により発揮張力の変動係数は低下した。この結果は、ノイズ刺激により力調節能力が向上したことを示している。この向上の生理学的要因を検討するために、自律神経活動がいずれの筋に影響を及ぼし、発揮張力に反映されたかを張力変動と筋電図とのクロススペクトル解析から定量した。その結果、ノイズ刺激を与えない場合、大腿直筋と発揮張力との間には高いコヒーレンスが認められたが、ノイズ刺激を与えるとコヒーレンスがさらに増加した。この結果より、ノイズ刺激による力調節能力の向上は、自律神経活動の変調による大腿直筋の筋活動の適応に起因していることが示唆された。さらに、筋活動が自律神経活動にフィードバックしているか否かを発揮張力と心電図R-R間隔およびbeat-by-beat血圧とのクロススペクトル解析を行った。その結果、低周波帯域において、コヒーレンスが有意水準に達し、そのときの位相差は生理学的範囲内であった。これら結果より、機械的ノイズ刺激は自律神経活動を変調し、その結果として力調節能力が向上し、最終出力である発揮張力の変動はさらに自律神経活動に影響を及ぼすことが明らかになった。すなわち、ノイズ刺激による力調節能力はこの一連のフィードバックにより制御されていると考えられた。
|