2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトのタイミング制御におけるベイズ統合に関わる脳部位の特定
Project/Area Number |
18700491
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 真 Waseda University, 付置研究所, 助教 (30392202)
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Keywords | ベイズ統合 / タイミング / 時間情報処理 / 脳 / 人間 |
Research Abstract |
心理物理学的測定については,触覚刺激の時間順序判断にあたってベイズ統合が作用していることを発見した昨年度の報告(Miyazaki et al. 2006, Nature Neuroscience)を発展させた成果を得た.ベイズ統合が作用するためには,理論上,中枢神経系が認識/制御対象の振舞の確率分布(事前分布)を学習する必要がある.従来の研究では一時期に単一の事前分布のみを被験者に呈示して,それを被験者が学習できるかどうかを調べてきた.本研究では,時間順序判断において,被験者が複数の事前分布を学習することができるのか?どのような条件がそれを可能にするのかを調べた.その結果,刺激時間差を取り出す確率分布に応じて色(赤/青)の手がかり刺激を与えても被験者は二つの確率分布を学び分けることができなかったが,その手がかり刺激に応じて眼球運動を起こすことで二つの確率分布を同時に学び分けることができることが明らかとなった(Nagai,Suzuki,Miyazaki,Kitazawa.2007,ESF/EMBO symposium).このことから眼球運動の制御に関与する中枢神経機構が事前分布の学習に介在していることが示された. もう一つの研究手法である機能的MRIによる脳機能マッピングについては,運動タイミング課題を用いた予備測定の分析を行なった.その結果,感覚情報の処理に関わると想定される脳領野として,右の運動前野と頭頂葉が算出された.一方,事前情報の処理に関わると想定される脳領野については現在のところ有意水準には達していないものの,小脳がその候補として浮かび上がってきた.来年度以降,実験設定の洗練化,被験者数の増員等の手続きを加えて事前情報に関わる脳部位の特定作業を進めていく予定である.
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