2006 Fiscal Year Annual Research Report
「高炭酸ガス吸入の呼吸循環亢進作用」をスポーツ科学へ応用するための基礎的研究
Project/Area Number |
18700518
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
加藤 貴英 中京大学, 大学院体育学研究科, 助手 (00387614)
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Keywords | 高炭酸ガス / スポーツ・健康科学 / 呼吸・循環 / 代謝 |
Research Abstract |
「高炭酸ガス吸入による呼吸循環亢進作用」をスポーツ・健康科学の分野へ応用するため、本年度は、高炭酸ガス吸入下における運動時の生理学的特性についての基礎資料を得ることを目的として研究を遂行した。 自転車エルゴメーターを用いた漸増負荷運動を基本的な実験プロトコールとし、吸気中の炭酸ガス濃度6%、3%、0.03%(空気)の3条件下(酸素濃度はいずれも21%)でデータ収集した。被験者は健康な成人男性であった。 次の3つが成果として列挙できる。 1、吸気中の炭酸ガス濃度が高くなればなるほど、嫌気的代謝産物(乳酸、アンモニア)の血中への蓄積が抑制されることを明らかにした。 <11回ヨーロッパスポーツ科学会(スイスローザンヌ)で報告> 2、吸気中の炭酸ガス濃度が高くなればなるほど、中強度運動時の心拍数は高くなるが、最大運動時の心拍数は低くなることを明らかにした。 <第61回日本体力医学会(神戸)で報告> 3、吸気中の炭酸ガス濃度が3%の場合、最大運動パフォーマンスは空気吸入下と有意な差は見られず、肺胞内と血中への炭酸ガス蓄積は安静時には生じないが、運動負荷強度が中程度以上になると炭酸ガス蓄積が生じることを明らかにした。 <41回日本高気圧環境・潜水医学会(沖縄)で報告> 以上の結果から、高炭酸ガス吸入をスポーツ・健康科学へ応用する場合、吸気中の炭酸ガス濃度は3%以下を推奨する。呼吸・循環機能の改善には、心拍数の応答、肺胞内と血中への炭酸ガス蓄積の様相から、最大運動時の60%程度の運動強度が効果的であると考えられる。
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