2008 Fiscal Year Annual Research Report
スピードスケートの加速動作に影響を及ぼす体力的要因に関する研究
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18700524
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
湯田 淳 Japan Women's College of Physical Education, 体育学部, 講師 (80415835)
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Keywords | スピードスケート / 加速動作 / 3次元動作分析 / キネマティクス / 身体的特性 / 体力的要因 / MRI / 発育発達 |
Research Abstract |
本研究では, スピードスケート競技における加速動作を対象として, 発育発達に伴うパフォーマンスの変化を技術および体力的側面から検討し, 発育発達段階に応じた技術および体力トレーニング立案に役立つ知見を得ることを目的とした. この目的を達成するため, 平成18年度では, レース中におけるスピードスケート選手のスタートからの加速動作の3次元動作分析に加え, 一流およびジュニア選手の各種運動能力テストを実施した. 平成19年度ではこれらのデータの分析から競技現場に役立つ知見が得られ, 平成20年度では更なる分析を進めることによって以下の知見を得た。 【短距離選手における大腿および体幹部の筋断面積と関節トルク発揮の関係】 スピードスケート短距離種目を専門とする男子ジュニア選手(10名)およびシニア選手(9名)におけるサイドジャンプ(ストレート滑走模倣動作)での右支持脚の股, 膝および足の各関節の最大トルクを分析した. その結果, 氷上ストレート滑走において重要となる股関節まわりのトルクをみると, 最も大きな値のみられた伸展トルクではジュニア群とシニア群との間に有意差はみられなかったが, 外転および内旋トルクではいずれもシニア群の方がジュニア群よりも有意に大きかった. 一方, ジュニア群では足関節の底屈トルクにおいてシニア群よりも有意に大きい値を示していた. これらのことから, シニア選手では模倣動作においても氷上ストレート滑走で重要となる股関節外転トルク発揮が大きく, 身体の中枢に位置づけられる股関節まわりの筋群でのトルク発揮が強調されているのに対して, ジュニア選手では末梢部となる足関節でのトルク発揮が強調されていることが明らかとなった. そして, 陸上での模倣動作中の力発揮は氷上のパフォーマンスと関連が深く, 模倣動作における関節トルク発揮の様相を改善することによって氷上での滑走技術の向上が期待できることが示唆された.
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