2008 Fiscal Year Annual Research Report
2種類の疑似高所での滞在および運動中の生理応答とトレーニング効果の差に関する研究
Project/Area Number |
18700525
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
前川 剛輝 National Agency for the Advancement of Sports and Health, スポーツ科学研究部, 研究員 (50336351)
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Keywords | 低圧低酸素環境 / 常圧低酸素環境 / 高所トレーニング / 低酸素トレーニング / 動脈血酸素飽和度 / 自律神経機能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、同じ酸素分圧にコントロールされた2種類の擬似高所で、気圧の違いによって安静および運動中の生理応答にどのような違いが生じるのかを検討することである。本年度は低圧低酸素環境下と常圧低酸素環境下での運動トレーニングの効果の違いを検討した。 被験者は大学生の自転車選手8名で、うち4名を低圧低酸素環境下(気圧:701hPa,酸素分圧:147hPa,酸素濃度:20.9%)でトレーニングを行う群(HH)とし、残りの4名を常圧低酸素環境下(気圧:1013hPa,酸素分圧:147hPa,酸素濃度:14.5%)でトレーニングを行う群(NH)とした。トレーニングの前後で通常酸素環境下で自転車エルゴメーターを用いた運動負荷試験を行い、最大酸素摂取量(VO2max)、乳酸性作業閾値(OBLA:血中乳酸濃度が4mmol/lの強度)を測定した。さらにWingate anaerobic test(WAnt:30秒間の超最大全力ペダリング運動)も行い、ピークパワーと平均パワーを算出した。トレーニングはペダリング運動によるインターバルトレーニングを週3回、8週間、計24回行った。インターバルトレーニングは高強度運動3分(通常酸素環境下で80〜100%VO2max強度)とリカバリー運動2分(40%VO2max強度)を1セットとし、連続して5セット行わせた。 トレーニングの結果、VO2maxは両群とも増加する傾向はみられたが有意な変化ではなかった。OBLA強度は両群とも有意に改善した。WAntのピークパワーと平均パワーに有意な変化がみられたのはHH群のみであり、効果に差異がみられた。 常圧低酸素環境を用いて高所トレーニングを行う場合、低圧低酸素環境下でトレーニングを行った際と同様の効果を得ようとするには、酸素濃度をさらに下げたり、トレーニング期間を延長するなどの工夫が必要かもしれない。
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