2006 Fiscal Year Annual Research Report
バイオイメージングによる運動誘発性末梢循環不全の解明
Project/Area Number |
18700526
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
狩野 豊 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (90293133)
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Keywords | カルシウムイオン / エキセントリック収縮 / 筋細胞 |
Research Abstract |
平成18年度において,本研究はバイオイメージング技法による筋細胞のカルシウム濃度の測定法の確立と筋損傷を誘発するエキセントリック運動とカルシウムイオンの蓄積パターンを検討した.さらに,血球動態と酸素分圧動態の同時計測モデルを確立することを試みた.実験にはWistar系ラット脊柱僧帽筋を用いた.脊柱僧帽筋は薄膜状の筋であり,血流や神経活動を維持した状態での顕微鏡観察が可能であった.脊柱僧帽筋に対して蛍光Ca^<2+>指示薬Fura2を負荷し,蛍光Ca^<2+>イメージング法によってCa^<2+>動態を評価した.測定条件は1)生体外(in vitro)と生体内(in vivo)によるCa^<2+>蓄積動態,2)in vivoにおけるアイソメトリック(ISO)とエキセントリック(ECC)収縮負荷(電気刺激5V,100Hz tetanus,50×10sets,インターバル5min)によるCa^<2+>蓄積動態とした.条件1)のin vitro環境下においてはCa^<2+>が漸進的に増加し,測定開始から55分で初期値に対して有意な増加を示し(P<0.05),その後も90分間の測定中は増加傾向にあり,90分後での値は初期値から47.8±11.2%まで増加した.しかしながら,in vivoでは90分間の測定中に有意なCa^<2+>の増加は見られなかった.次に,in vivo環境下での筋収縮負荷を行ったところ,連続的なISO収縮後は非常に緩やかなCa^<2+>の蓄積が観察され,収縮前の値に対し,4セット以降の値から有意な増加が見られ(P<0.05),10セット後の値は初期値に対して29.0±9.4%の増加であった.これに対してECC収縮では1セット目の収縮負荷後から有意なCa^<2+>蓄積が見られ(P<0.01),その程度も10セット目ではISO収縮の値の約2倍大きいものであった.以上の結果から,1.in vivo観察モデルによるCa^<2+>評価法を確立できた.2.ISOと比較して,ECCは細胞内Ca^<2+>の蓄積が負荷後に早い段階で生じ,その程度も大きいことが明らかとなった.また本研究ではCa^<2+>の蓄積は筋線維間および線維内で不均一であり,筋線維毎に異なるCa^<2+>蓄積・拡散のパターンが観察された.なお,カルシウムイオン観察と赤血球動態ならびに酸素分圧動態の同時観察は条件設定が困難であったため,同時計測モデルは現段階では確立されていない.
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