2006 Fiscal Year Annual Research Report
低血液量がヒト運動時の皮膚交感神経バーストの発生頻度とその振幅の増加に与える影響
Project/Area Number |
18700529
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上條 義一郎 信州大学, 大学院医学研究科, 助手 (40372510)
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Keywords | 低血液量 / 皮膚交感神経活動 / 皮膚血管拡張 / 発汗 / 皮膚交感神経活動スパイク / 皮膚血管拡張神経 |
Research Abstract |
本研究は、以前我々がヒト運動時において示した、低血液量により皮膚血管拡張は抑制されるが発汗反応は抑制されないという現象に、これら効果器を支配する皮膚交感神経活動(SSNA)が関与しているか否かを明らかにするものである。我々の実験仮説は、ヒト運動時において、1)低血液量によりSSNAのバースト発生頻度は抑制されず発汗反応も抑制されない、2)低血液量によりバースト振幅が抑制される結果、皮膚血管拡張反応が抑制される、でありこれを検討することを目的とした。 1.測定項目のセットアップ 皮膚交感神経活動(SSNA)、前腕皮膚血流量(FBF)、発汗速度(SR)、動脈圧、心電図、食道温、平均皮膚温野測定は現有のものを用いる。また採血方法はすでに確立された方法を用いる。皮膚血流量(SkBF)についてはレーザー血流計(MoorLAB Server, Moor Inst.)を購入した。 2.実験プロトコールの確立 被験者は6:00a.m.に研究室に到着後30分安静をとり、この間に正中肘静脈より静脈ラインを確保する。11cc採血の後、低血液量群では利尿剤を服用しさらに3.5時間待機する。また対照群では何も投与せず同じ時間待機する。その後、室温28℃に制御された人工気象室へ移動し、自転車エルゴメーターのシートに着席し安静をとる。この間に、心電図の電極、食道温測定用プローブ、皮膚温測定用センサー、プレチスモグラム、血圧センサーが装着される。測定は、10分間の安静後、引き続き被験者は60%VO_<2max>の運動強度で一定のリズムで自転車運動を40分間行う。本来ならば、被験者の橈骨神経浅枝にタングステン電極を挿入し、その支配領域にレーザー血流計のプローブ、またその近傍に発汗カプセルを装着する予定であったが、橈骨神経浅枝への電極挿入は困難を極め、またノイズの混入があり、神経活動を取るには至らなかった。そのため引続き橈骨神経からのSSNA測定の確立を目指す。 3.データ解析法の確立 本年度の大きな研究成果は、以前我々の研究室で収録された安静時ヒト暑熱負荷時のデータを用いて、SSNAスパイクの解析方法を確立した点である。解析プログラムはMATLABを用いて、研究代表者により開発された。この解析法を、本研究においても適用する予定である。
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