2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動時における筋酸素動態不均一性の評価とそのスポーツ医科学分野への応用
Project/Area Number |
18700536
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
木目 良太郎 東京医科大学, 医学部, 助手 (90366120)
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Keywords | 不均一性 / 筋酸素動態 / 近赤外分光法 / 自転車運動 / 空間分解分光法 |
Research Abstract |
健康な成人10名を対象に,安静時および運動時における筋酸素動態の不均一性について調べた.左外側広筋の遠位部から近位部に向かって8箇所測定可能な近赤外空間分解分光法のプローブを装着した.仰臥位にて安静の後,6分間の動脈血流遮断(AO)を行い,AO時における組織酸素飽和度(StO_2)の最低値を酸素抜き取り能力(O_2 extraction)として評価した.なお各測定部位の皮下脂肪厚を測定し,光学係数に与える脂肪厚の影響を補正した.その結果,安静無負荷時においてすでに,遠位部(77.0±9.1%)に比較して近位部(80.2±5.6%)の方でStO_2が有意に高かった(p<0.05).またAO時におけるStO_2の最低値は,遠位部(14.1±8.0%)に比較して近位部(37.6±10.8%)の方で有意に高値を示し(p<0.001),安静時と比較して,StO_2の部位差が有意に拡大した(p<0.001). ランプ負荷法(男性30W,女性20W)による自転車運動を疲労困憊まで行い,その際の筋酸素動態不均一性について評価した.その結果,負荷強度の増大に伴い全被験部位のStO_2は顕著に低下し,VO_2max時におけるStO_2もまたAO時と同様に,近位部(52.7±5.8%)に比べて遠位部(40.4±5.8%)の方が有意に低かった(p.0.05). 標準偏差を平均値で除した値(RD)を不均一性の評価指標として調べた結果,安静時(7.7±1.3%)およびOW負荷時(6.9±1.5%)と比較して,高強度運動時ではStO_2のRDが有意に増大した(80%VO_2max;17.4±5.7%,p<0.05,100%VO_2max;23.0±6.4%,p<0.05).つまり,負荷強度の増大に伴い単一筋内におけるStO_2の不均一性も有意に増大した。
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