Research Abstract |
末梢組織レベルでは, エネルギー需要量の増大に対する血流分布が不均一であり, 酸素バランスの不均一化が亢進するに伴い, mnscle O_2 extractionがより低下する可能性について報告されている. また, 持久的鍛錬者の方が, 運動時における血流量分布がより均一化したとも報告されている. 本研究では, 6週間の持久的トレーニングにより活動筋脱酸素化レベルおよびその不均一性が変化するか否かについて検討した. 健康な成人9名を対象に, ランプ負荷法による自転車運動負荷試験を疲労困憊まで行った. 多チャンネル型近赤外空間分解分光法(NIR_<SRS>)のプローブを外側広筋の長軸方向に沿って8箇所装着し, 運動時における筋組織酸素飽和度(SmO_2)を連続的にモニターした. 筋酸素動態不均一性は, 標準偏差を平均値で除した値で評価した. 自転車運動による持久的トレーニングを60%VO_<2peak>から開始し, トレーナビリティに応じて5%VO_<2peak>ずつ増加した. トレーニングは, 1回30分以上, 週に3回以上の頻度で6週間行った. 持久的トレーニングにより最高酸素摂取量は22. 5%増加した(p<0.001). また, 疲労困憊時における活動筋内の平均SmO_2は, トレーニングにより有意に脱酸素化が亢進した(P<0.05). 一方, 活動筋内におけるSmO_2の不均一性に関しては, トレーニング前後において有意な変化を認めなかった. 以上より, 持久的トレーニングによる骨格筋有酸素能力の向上に伴い, 活動筋内のmuscle O_2 extractionは亢進したが, 筋酸素動態の不均一性は変化しなかった. 持久的トレーニング後にVO_<2peak>が有意に向上した結果と併せて考慮すると, 運動時における酸素バランス分布の不均一性は, 活動筋での酸素交換効率に影響を及ぼさない可能性が示唆された.
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