2008 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者の「攻撃行動」に対する意味づけが介護者のストレス反応に与える影響
Project/Area Number |
18700542
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮崎 章夫 Ibaraki University, 人文学部, 准教授 (90312769)
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Keywords | 認知症の行動と心理症状 / 介護ストレス / ストレス対処 / 自己効力感 / 高齢者 / 攻撃的言動 / 介護職 / 共感 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の最終年度に当たる。当初の計画にしたがい、おもに2つの取り組みをおこなった。第1に、研究成果の公表・発信である。調査から得られた成果を日本心理学会で発表した後に、学術雑誌に論文として公表した。第2に、介護職従事者に対して、研究成果をフィードバックした。フィードバックの材料として、ストレス対処に関するリーフレットを作成した。このリーフレットには、ストレス理論に関する既存の知識・理論と、本研究から得られた新たな知見の両者を盛りこんだ。本研究で得られた知見とは、「攻撃的言動」に対する、ベテラン介護者の原因帰属と対応の仕方である。調査の結果、「攻撃的言動」の原因として、「介護に対する欲求不満」、「病を受容することにともなう苛立ち」、「入居者と介護者との相性」、そのほか多様な要因を明らかにすることができた。こうした原因帰属をおこなうとき、新人職員は、もっぱら一つの原因に注目する傾向があった。それに対して、ベテラン職員は、状況に応じて帰属する原因を柔軟に変えるという特徴がみられた。さらにベテラン職員は、帰属した原因に応じて、「共感的な対応」と「相手と距離をとる対応」を使い分けていることが明らかになった。こうしたベテラン職員の特徴を分かりやすく伝えるリーフレットを用いて、ストレスマネジメント教育としてのフィードバックをおこなった。今後、フィードバックの効果を定量的に評価していく予定である。
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Research Products
(4 results)