2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の機能修飾とインスリン抵抗性発症における脂肪合成関連遺伝子の役割
Project/Area Number |
18700548
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
卯木 浩之 The Institute of Physical and Chemical Research, 糖尿病性腎症関連遺伝子研究チーム, 研究員 (40323290)
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Keywords | 内臓脂肪蓄積 / インスリン抵抗性 / 脂肪細胞 / TNF-α / 飽和脂肪酸 / DGAT |
Research Abstract |
内臓脂肪蓄積はインスリン抵抗性と高脂血症に関与し動脈硬化を促進させる。これまでに、高グルコースにより脂肪細胞内のトリグリセリドが蓄積する過程で引き起こされるtumor necrosis factor-α(TNF-α)の発現亢進にacyl-coenzyme A: diacylglycerol acyltransferase(DGAT)-1遺伝子の発現上昇が関与することを明らかにした。本研究において、脂肪の過剰摂取による脂肪細胞の機能変化に対するDGATの関与を検討した。 C57BL6/Jマウス(8週齢♂)に60%あるいは10%脂肪食を2週間負荷したのち腸間膜脂肪組織を摘出しナイロンメッシュ(φ70μm)を用いて大型脂肪細胞ならびに小型脂肪細胞を分画した。60%脂肪食負荷マウス群の腸間膜脂肪では10%脂肪食負荷マウス群に比べて大型、小型脂肪細胞ともにTNF-α発現が有意に上昇していた。3T3-L1脂肪細胞におけるTNF-α発現はミリスチン酸、パルミチン酸(C16:0)によりそれぞれ2.1倍、1.9倍に上昇した。一方、オレイン酸、リノール酸はTNF-αの有意な発現上昇を引き起こさなかった。C16:0によるTNF-αの発現上昇はDGAT1,DGAT2遺伝子の発現に引き続いて引き起こされた。3T3-L1細胞へのDGAT1 siRNAの導入あるいはDGAT1活性阻害剤の前処理によりC16:0によるTNF-α発現上昇が抑制されたものの、DGAT2 siRNAの導入はTNF-α発現に影響を与えなかった。脂肪の過剰摂取は脂肪細胞におけるDGAT1発現を介してTNF-α発現上昇を引き起こしインスリン抵抗性の発症に関わる可能性がある。
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