2006 Fiscal Year Annual Research Report
若年者に対する高血圧予防介入及び効果判定のため指標の開発
Project/Area Number |
18700549
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田口 理恵 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (90301126)
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Keywords | 高血圧 / 予防 / 血行動態 |
Research Abstract |
【目的】これまで我々は、網膜循環血行動態の変化が血圧上昇と成因的に関連しているか検討するため、これまで加齢による血圧変化との関係について検討してきた。本研究ではさらに、血管拡張を主な作用機序とする降圧薬と、血管拡張以外の作用を主な機序とする降圧薬の2種類の薬剤による血行動態の変化を解析し、網膜循環血行動態の変化と血圧との関係を詳細に検討することによって、本法の指標としての有用性を確立することを目的とした。 【対象および方法】未治療で多臓器への合併症を持たない本態性高血圧患者を対象とし、無作為にCa拮抗薬単独治療群、ACE阻害薬単独治療群の2群に振り分け、治療前と3ヶ月間の服薬治療後に、血圧及び網膜循環諸指標を測定した。網膜循環の評価として、超音波カラードップラー法を用いて、座位にてCRAのVmax、VminならびにVmeanを測定し、眼底撮影の画像から血管径を算出した。 【成績】Ca拮抗薬、ACE阻害薬治療群ともに3ヶ月の治療後、SBP、DBPの有意な低下を認めた(156.1vs.136.4、166.9vs.140.4:100.2vs.88.1、101.0vs.90.0mmHg)。血流速度はVmax、Vmin、Vmeanのいずれも両群において顕著な低下が認められた(%Vmean:19.8vs.22.0%)。一方、動脈径は両群ともに治療後拡張していたが、拡張率はCa拮抗薬治療群で高かった(9.6vs.5.6%)。 【結論】本網膜循環血行動態の諸指標は、血圧変化の諸要因を的確に反映しており、血圧上昇の初期変化を捉え、介入効果の判定を行うのに極めて適切な指標であることが示された。
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