2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖質・脂質成分の相互作用による新たな生体機能調節作用の解明
Project/Area Number |
18700554
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新井 英一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60325256)
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Keywords | 食後高血糖 / 糖尿病 / パラチノース / オレイン酸 / 腸管機能 / 糖吸収 |
Research Abstract |
糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防や治療を目的として開発した糖質調整食品(Inslow)は、これまでに食後高血糖および高インスリン血症の抑制効果を有することを報告した。本研究は、この食品の主成分であるパラチノース:Pおよびオレイン酸:O、対照としてシュクロース:Sおよびリノール酸:Lとを組み合わせた4種類の餌(PO、PL、SO、SL)を調整し、食事中の糖・脂質成分の相互作用が、血糖調節に関わる腸管および膵臓の機能に対する影響について解明することを目的とする。本年度は、SDラットおよび2型糖尿病モデル動物OLETFラットを用いて長期投与(8〜12週間)を行った。その結果、SLを摂取したSDラット群では、POを摂取した群に比して、腸管上皮細胞における二糖類分解酵素であるSucrase-Isomaltase (SI)、糖輸送担体であるSGLT-1、GLUT5などの遺伝子の発現が亢進していた。さらに刷子縁膜(BBM)でのタンパク発現についても検討した結果、同様な発現パターンを示した。興味深いことに、OLETFラットでの遺伝子発現パターンは、SDラットと逆の発現パターンを示した。しかしながら、OLETFラットに対して糖負荷試験を行った結果、SL群では、PO群に比して負荷後の高血糖および高インスリン血症を示した。 以上のことから、Inslowに含まれる糖・脂質成分の組み合わせ食は、腸管での糖吸収制御に関わる因子の発現を調節することで、食後の急激な血糖上昇を抑制する可能性が示唆される。しかしながら、糖尿病や肥満などの過食環境では、腸内環境を変化させ、高血糖を抑制する別の機構が働いている可能性が示唆された。次年度は腸管での発現制御機構の解析、膵臓での機能評価および腸管との臓器間相互作用調節について検討を行う。食後高血糖を抑制する食品の機能評価および探索を行うことで、メタボリックシンドロームの治療や予防に貢献できると考えられる。
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