Research Abstract |
我々は, 平成18年より, 高齢者の下肢筋力向上にあたって, 横断的調査を行い, 全身持久性運動の時間を確保することが下肢筋力の確保に有益であることを示唆する結果を得ている. 特に, 3METs以上の強度に相当する全身持久性運動が下肢筋力の向上に有用であると考えられた. そこで平成21年度の目的は, 高齢者の下肢筋力向上を意図した全身持久性運動に関する研究について, 介入研究を実施し, その効果を検証することであった. 研究対象者は, 59名の男女であった. 介入期間は12週間であった. 全身持久性運動は, ステップ運動を用いた. 12週間のトレーニング介入前後に, 全群の対象者は形態・身体組成(身長, 体重, 体脂肪率, LBM, 腹囲周囲径, ピップ囲, 血圧, BMI, PeakVO2など), 安静時代謝量の測定及び, 体力測定(握力, 脚伸展パワー, 10回立ち上がり, 閉眼片足立ち, ファンクショナルリーチ, 長座体前屈, レッグエクステンション)を測定した。12週間のトレーニング介入の結果, 脚伸展パワー, 有酸素性作業能, 握力, 長座体前屈, 10回立ち上がりは, 有意に向上した. これらのことから, 本研究で用いた全身持久性運動であるステップ運動は, 下肢筋力の向上に有用であると考えられた. 本研究の対象者は, トレーニングの強度がいずれも中等度であり, これらの結果は, これまでに我々が本事業内にて過去に得た知見を追従するものであった. 従って, 中等度強度の全身持久性運動は, 高齢者の下肢筋力向上に有効であると考えられた.
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