2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスによる動脈硬化症の発症メカニズムの解明と運動療法への応用
Project/Area Number |
18700563
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥津 光晴 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (80409755)
|
Keywords | 生活習慣病 / ストレス |
Research Abstract |
ストレスは動脈硬化症のリスクファクターの1つである。動脈硬化症の発症にはケモカインとケモカイン受容体の相互作用を介した単球の動脈壁への浸潤が必要不可欠であると考えられている。単球に発現するケモカイン受容体CCR2と動脈壁から産生されるケモカインMCP-1(CCL2)の相互作用は、単球の動脈壁への浸潤を制御する中心的役割を果たしていると考えられている。本研究ではストレスホルモンによる単球のCCR2の発現制御の有無を明らかにすることを研究の第一課題とした。ヒト末梢血から単核球を比重分離し、カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン)あるいはグルココルチコイド(コルチゾール)にて刺激培養後、単球CCR2の発現変化を観察した。その結果、単球CCR2の発現はカテコールアミンでは変化しなかったが、グルココルチコイドでは刺激培養開始6時間後より有意な増強を開始し、以降24時間後まで培養時間依存的な発現増強を示した。また、この単球のCCR2の発現増強はコルチゾール濃度依存的な増強を示した。さらに、単球のCCR2の発現増強による浸潤能力の変化を観察するため、末梢血単核球をコルチゾールにて24時間刺激培養しCCL-2に対する浸潤能力を評価した。その結果、コルチゾールで刺激培養した単球はコントロールと比較してCCL2に対する移動能力が高かった。これらの結果、ストレスホルモンの1つであるグルココルチコイドは単球のCCR2の発現を増強させ、単球の移動能力を上昇させることが明らかとなった。今後、ストレスホルモンと動脈硬化症の関連性をin vivoにて検証することで、ストレスによる動脈硬化症の発症メカニズムの解明と予防への応用が期待できる。
|
Research Products
(2 results)