2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700572
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (20304074)
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Keywords | 紫外線 / 湿潤 / 織物 |
Research Abstract |
水分が織物の紫外線遮蔽性能および遮光性、透け性に与える影響を検討する為、糸本数を規則的に変化させた綿平織物、ポリエステル平織物、有孔無膨潤試料としてステンレスメッシュ、無孔膨潤試料として濾紙を試料として用い、水分率とそれぞれの性能との関係を検討した。その結果、湿潤状態では綿布の紫外線遮蔽率は水分率の増加に伴って減少する。水分率80%までは水分率と紫外線遮蔽率は直線関係を示し、湿潤時の紫外線遮蔽率は水分率と標準状態における直通気孔率で予測できることがわかった。ポリエステル布でも同様の関係式が成り立つが、成り立つ水分率の範囲は綿布に比べて狭い。さらに、綿布の表面が液相の水で覆われるほどの高い水分率においては、紫外線遮蔽率がやや増加する現象が捉えられた。この現象を解明するためステンレスメッシュ、濾紙による測定を行った。その結果、ステンレスメッシュでは気孔に水が充填された状態は標準状態より紫外線遮蔽率が高い。濾紙においては湿潤状態では標準状態よりも遮蔽率は低いことがわかった。このことから、綿布で観察された湿潤状態の紫外線遮蔽率の低下は、繊維及び糸の膨潤による糸中を通る紫外線の増加に起因するものであること、液相の水で覆われるほどの高い水分率で紫外線遮蔽率がわずかに増加する傾向は、気孔中に充填された水の影響によるものと推定され、水の膜を保つ限界の水分率の時に遮蔽率が極値を示すことが明らかになった。また、湿潤状態の遮光率は、紫外線遮蔽率より低い値を示すが水分率の変化に対する遮光率の変化挙動は紫外線遮蔽率と同様の挙動を示し、紫外線遮蔽率において極値を持つ試料は遮光率においても極値を持つことがわかった。湿潤状態の透け性測定の結果、膨潤試料では湿潤時には標準状態に比べて透け性が増加する。これは繊維の膨潤によるものであり、気孔に充填された水分はむしろ透け性を低くする事が明らかとなった。
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