2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18700572
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山田 由佳子 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 准教授 (20304074)
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Keywords | 紫外線 / 湿潤 / 通気性 |
Research Abstract |
標準時および湿潤時の布の通気性測定を行い、H18年度研究成果である紫外線遮蔽性能と遮光性、透け性との関連について検討し、快適で安全な夏の衣服について考察した。その結果、湿潤状態では、低い水分率において紫外線遮蔽率が低下し、透け性も増加して通気抵抗が高くなる。すなわち、使用、着用時に不快な状態となることが確認された。しかし、さらに高い水分率では直通気孔が液相の水で充填された状態の方が標準状態よりも紫外線遮蔽率が高く、透け性も低下する試料かあることが明らかとなった。ただし、通気性において非常に高い抵抗を示し、快適性の面からは問題がある。高い水分率においては気孔に充填された水の膜が抵抗値を高めており、糸中の繊維の膨潤および繊維間の微少な空間を占める水分よりも、直通气孔を充填する水分膜の方が、通気抵抗に及ぼす影響が大きいことが明らかになった。種々の繊維の種類、織構造の異なる一般布の湿潤時の紫外線遮蔽性能については、綿布及びポリエステル布で明らかとなった挙動と同様の傾向もみられたが、異なる挙動を示す試料布もみられ、繊維種類によるものか構造によるものかの解明に課題が残つた。以上、本研究成果より提案する快適で安全な夏の衣服としては、標準状態では、繊維が膨潤するしないに関わらず、同じ気孔率でも単層布に比べて紫外線遮蔽率が高く、通気抵抗が低い薄手布の重ね着が有効であると考えられる。しかし、湿潤状態では、優れた吸汗、速乾性能が付加されたものであれば、ポリエステル素材などの非膨潤繊維が有効である。構造面では、高い水分率では水の膜が張つた際にすぐに破れる程度の気孔の大きさにする、重ね着よりも気孔をずらした二重織構造布にするなど、繊維の膨潤の有無と、直通気孔の大きさを考えて状況に応じた布構造を設計、選択、着用することが重要であると考えられる。
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