2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者居住施設における個別ケアの実現プロセスとその診断手法の開発
Project/Area Number |
18700578
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
毛利 志保 Nihon Fukushi University, 非常勤講師 (60424941)
|
Keywords | 高齢者居住施設 / 住環境 / 個別ケア / 診断手法 / 改善プロセス |
Research Abstract |
本研究の目的は、「高齢者居住施設における個別ケアは、ソフト(ケア)とハード(環境)双方の安定したバランスが達成の条件となる」との仮説より、実現プロセスを解明するとともに、施設自身が実践への振り返りを可能とする診断手法を開発することである。 昨年度の研究より、個別ケア実現には「ソフト」「ハード」のみならず、それらを機能させる「システム」の重要性が明らかとなったことから、今年度は以下の3点について研究を進めた。結果は以下の通りである。 1.「個別ケア」実践施設における「ハード」「ソフト」「運営システム」の実態把握 平面計画特性、ユニットケア運営計画の分析を行った。特に、平面計画特性の把握からは、制度化以降5年が経過したユニットケア型特養の空間計画の進展過程およびその間に提示されたガイドラインの普及状況が把握でき、運営面と照らし合わせた上での空間計画的側面からの課題が明らかとなった。 2.施設管理者の「個別ケア」への理解度および設計者との適切な協働の把握 管理者および設計者へのヒアリングを行った。その結果、管理者は、運営・経営面への関心が高い一方、ケアへの認識が薄く、利用者本位のケアを目的とした運営システムの構築が妨げられていることが明らかとなった。また、管理者と設計者との協働については、施設計画が複数年度に渡るため、その間の行政・設計・法人担当者の変更が多く、要望やノウハウの蓄積がなされていないという課題が見えた。行政も加えた知識の蓄積が必要である。 3.「個別ケア」達成状況の診断手法の開発・提案 システム構築後の試行事業(11施設)を実施した。評価項目やシステムについては大きな課題はなかったが、本格実施開始後の普及率に課題を残した。システム利用の普及が施設全体の質の向上に直接つながることから、普及方法の再検討が求められる。
|
Research Products
(5 results)