2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者居住施設における個別ケアの実現プロセスとその診断手法の開発
Project/Area Number |
18700578
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
毛利 志保 Nihon Fukushi University, 非常勤講師 (60424941)
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Keywords | 高齢者居住施設 / 住環境 / 個別ケア / 診断手法 / 改善プロセス |
Research Abstract |
本研究は、高齢者居住施設における個別ケアの実現プロセスを解明するとともに、施設自身が実践に対する振り返りを可能とする診断手法を開発することを目的としている。 昨年までの研究から、個別ケア実現には空間計画や職員のスキルのほか、職員体制や組織運営等の「システム」が課題であることが明らかとなった。それらを掘り下げるため、今年度は(1)「管理者の個別ケアの知識と施設運営の関係」(2)「施設内での管理者と現場職員の協働」の実態把握を行った。また、施設内での協働を目的として開発した診断手法については、(3)「指標検討および普及推進」のための改善を行った。 (1) については、管理者がユニットケアを推進する上での課題の分析より、管理者の知識不足とシステム構築に深い関わりがあることが推察された。知識が少ないほど、部下への指示が抽象的で具体性に欠け、その結果、システム構築が実現していない実態が示された。 (2) については、アンケート結果分析から、管理者と職員間でユニットケアへの満足度や実践に対する判断にズレが大きく、協働が進んでいない施設が多いことが明らかとなった。施設での協働の契機としての使用を想定した評価システムの利用実態については、ユニットリーダーや管理者といった核メンバーを含む合議には役立ったが、実践には結びつきにくいといった課題が出された。 (3) については、評価システム利用者アンケートを踏まえ、システム改善を行った。指標のレベル調整および管理者がユニットケア研修受講時に作成する改善計画書との連動や、随時利用可能にするなどである。 個別ケア実現のためのプロセスは、建築の完成前は運営者と設計者、運営開始後は運営者と職員の協働が最も重要といえる。手法としてのユニットケア実現に不可欠なものは運営システムの確立であり、関係者すべてが共通認識を持つことが求められる。共通認識醸成のためのツールが今回開発した評価システムといえる。
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