2008 Fiscal Year Annual Research Report
「家族にやさしい」企業の形成に関する研究-雇用労働者の実質的男女平等に向けて-
Project/Area Number |
18700585
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森田 美佐 Kochi University, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (20403868)
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Keywords | 家政学 / 社会学 / 労働 / 家族 / ジェンダー |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は、これまての研究結果と実際の企業調査から、日本における「家族にやさしい」企業の効果とさらなる課題を、男女雇用平等の視点から明確にすることであった。結果として本年度は、文献調査に加えて、「家族にやさしい」施策を実践している先駆的な事業所に対して、アンケート調査を実施した。調査対象には、従業員の仕事と家庭生活(とりわけ仕事と子育て)の両立を支援するための施策を打ち出している事業所を選択した。調査対象の事業所は約500社であった。アンケート調査の実施が平成21年3月であったため総括的な結論に至るまでには更なる分析が必要であるが、集計を進めている現状での傾向を以下に記載した。 1 : 仕事と子育ての両立支援に取り組み、その実践が公的に評価されている企業は、地方都市よりも首都圏、とりわけ大企業に偏っている傾向がうかがえる。 2 : 仕事と子育ての両立支援に取り組む企業は、制度面での整備に力を入れている。しかし、その取り組みを対外的にアピールできるかについて、積極的な意見をもつ企業は多いとは言い難い。 3 : 仕事と子育ての両立支援に取り組んでいるという意味で先駆的な企業においても、男性従業員が、仕事と子育ての両立支援制度の利用を躊躇していることや、女性従業員が昇進・昇格などのキャリアアップに必ずしも意欲的な意識を見せているわけてはない。また残業の多い部署があることも事実として把握できた。 4 : 育児休業や短時間勤務制度を利用した従業員(現状では多くが女性)が、結果として復帰後の昇進・昇格・昇給が遅れる場合、それは人事管理の面から女性差別ではないという意見をもつ企業も多数見られた。
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