2006 Fiscal Year Annual Research Report
「なかよし」の両義性の分析による幼児理解の方法の探究
Project/Area Number |
18700586
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
岩田 恵子 日本女子大学, 家政学部, 助手 (80287812)
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Keywords | 教育系心理学 / 幼児理解 / ナラティヴ / 遊び / 幼稚園 |
Research Abstract |
(1)子どもたちの関係の記述方法についての検討 平成16年度から継続的に同一幼稚園におけるフィールドワークを行っており、年少児クラスから見てきた子どもたちが年長児となった今年度は、主としてその年長児を中心とした観察を実施した。「なかよし」関係の中でも、あるいは「なかよし」関係であるからこそ生じる、遊びや行事に際しての役割を決めるプロセスにおける様々な葛藤場面を分析しながら、一緒に遊ぶことや仲間はずれという現象を関係の網の目から記述することを試みた。 また、葛藤場面を含めた子ども達の問の出来事を記述するためには、観察者である筆者の感情をも含めたナラティヴが不可欠であることを学会発表(日本保育学会第59回大会ポスター発表「保育の場における子どもたちの世界の記述を共有するとき」及び日本質的心理学会第3回大会ボスター発表「内側から見ることと外側から見ることの往復による子どもの世界の記述の探究」など)を行いながら考察し、観察者自身を含む子どもをとりまく人々の視点、観察者自身の視点の移動によって子ども世界の記述が豊かになっていく可能性についての検討を行った。 (2)保育者との子ども理解の共有方法についての検討 フィールドノーツを読みやすい形にまとめたものを保育者に手渡す中で、子どもの仲間関係のありかたについて、保育者との共同的なナラティヴが生まれつつある。また、いくつかの「なかよし」場面、「いざこざ」場面のビデオ映像を用いて、幼稚園スタッフとの研究会の機会も作られた。このように保育における子ども理解のありかたを共同的に検討する中で、保育者と観察者、保育者間で子どもを語る共同的なナラティヴが作られ始めており、その記述を試みた。
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