2006 Fiscal Year Annual Research Report
過熱水蒸気加熱及び高圧処理による野菜のペクチン質、組織、テクスチャーの変化
Project/Area Number |
18700592
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
寺本 あい 関東学院大学, 人間環境学部, 講師 (50275369)
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Keywords | 真空保温調理器 / 圧力鍋 / 蒸し器 / 過熱水蒸気 / 天火 / じゃがいも / 破断強度解析 / クライオ-走査電子顕微鏡 |
Research Abstract |
当初の予定では初年度はニンジン・ハクサイをサンプルとして用いる予定であったが、所属研究機関を変わりペクチン抽出機器等の設備条件にも変化があったため、大量調理時に煮崩れ等の問題が特に生じやすいじゃがいも(メークイン)を用い、各種加熱方法での物性と微細構造の変化を中心に研究を行った。 方法:じゃがいもを、ゆで・真空保温調理器・圧力鍋・蒸し器・過熱水蒸気・天火等の調理方法で加熱し、最適加熱時間を検討した。この最適加熱時間で加熱したじゃがいもを破断強度解析、クライオ-走査電子顕微鏡観察、官能検査を行い比較した。なお、加熱中の試料と煮汁または庫内温度の測定も行った。 結果:(1)各種調理方法での加熱時間:どの加熱方法でも加熱時間が長くなるほど軟化する傾向にあった。官能評価の結果より、ゆで、真空保温調理器はじゃがいも中心温度が100℃になった後2分加熱または保温(100℃2分)、圧力鍋、蒸し器、加熱水蒸気は100℃直後、天火は100℃5分を最適加熱時間とした。(2)各調理方法(最適加熱時間)で加熱したじゃがいもの比較:硬さは、誤差を考慮するとほとんど変わらなかった。生の組織構造を低倍率(200倍、400倍)で観察すると、細胞内にデンプンの粒が詰まっている様相が見られ、デンプン粒は外髄に比べ皮層に多かった。高倍率(2万倍)で細胞壁を観察すると、細胞壁のミクロフィブリル同士がぴったりと接着されていた。ゆでたじゃがいもを低倍率で観察すると、細胞内のデンプンが膨潤、糊化し、広がっていた。外髄でも同様であったが、デンプンはいも虫状に伸びていた。高倍率で観察すると、細胞壁に隙間が生じ、相当ゆるんでいた。他の加熱方法においても同様の傾向が見られた。官能評価では、ほとんどの評価項目で過熱水蒸気や天火で高い評価が得られた。総合評価は過熱水蒸気>蒸し器>天火>ゆで>圧力鍋>真空保温調理器の順に高い評価が得られた。
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