2008 Fiscal Year Annual Research Report
食物抗原の腸管吸収性とアレルギー誘発能に及ぼす加工・調理の影響
Project/Area Number |
18700594
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
山田 千佳子 Nagoya University of Arts and Sciences, 管理栄養学部, 助教 (30351216)
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Keywords | 食品 / タンパク質 / 食物アレルギー |
Research Abstract |
抗原タンパク質の消化、吸収性と、投与後に引き起こされる免疫応答との関連を明らかにするために、卵白の主要アレルゲンであるオボアルブミン(OVA)とリゾチーム(LY)を経口投与後の抗体応答について解析した。B10Aマウス(6週齢、雌)にOVAまたはLYを20mgずつ、6日間経口投与した。その後、末梢血を採取し、血清中のlgG1、IgE抗体価をELISA法で測定し、その変動を比較した。その結果、OVA投与群では抗体応答が見られなかったのに対して、W投与群ではlgG1の顕著な増加が認められ、OVAとLYでは、投与後に誘導される抗体応答が異なっていた。さらに、抗体応答の見られたLYをマウスに0、0.2、2、20、100mgずつ6日間経口投与し、同様にして血清中のIgG1、IgE抗体価を測定した。その結果、投与量依存的なlgG1の増加が認められた。以上の結果を前年までに明らかにした消化、吸収性の違いから考察すると、抗体応答が誘導されたHは消化管内に未分解の状態で残存しており、小腸吸収部位から吸収されて門脈血中に移行するのは、未分解物のみであったため、抗体応答を誘導しやすかったのではないかと考えられる。さらに、OVAよりも門脈血中に存在していた時間が長かったため、免疫細胞を刺激する機会も増加し、抗体応答を誘導しやすかったのではないかと考えられる。これより、各アレルゲンの消化、吸収性の違いが免疫応答に大きく関与しており、経口摂取した場合、LYはOVAよりも免疫応答を誘導しやすいと考えられた。
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Research Products
(2 results)